柿と干し柿の違いは? 干せばご褒美レベルの甘さになるってホント??

柿の実は日本の秋の空に似合います。もちろん俳句の季語にもなっています。晩秋の風景を描くワードとして安定感がありますね。柿の実はその他にも役目があります。

木で熟した柿を1つだけ枝に残します。これを「木守り柿(きまもりがき)」と呼びます。実りへの感謝と生き物たちの冬の食糧として残す赤い柿。秋の終わりに行う思いやりある儀式のような慣習です。

そして数珠つなぎの柿がカーテンのように下がる風景も秋の終わりに見ることができます。元祖ドライフルーツの出来上がりが楽しみです。

秋の終わりに旬を迎えます。少し気温が下がる頃に見かけるとホッとする形です。生もドライも楽しめる歴史的果実。違いは? 柿と干し柿…見た目だけじゃないよね。

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柿と干し柿の違いは? そこまで差が出るの??

柿と干し柿の違いを調べました。柿と干し柿には見た目はもちろん味や食感にも違いがあります。そして「干す」という作業によって栄養成分に違いが現れます。

柿と干し柿の栄養成分を表にしました。

干し柿を作る時はよく切れる包丁を用意♪

★★★ 柿/100g 干し柿/100g
カロリー 60kcal 276kcal
炭水化物 15.9g 71.3g
ビタミンC 70mg 2mg
カリウム 170mg 670mg
食物繊維 1.6g 14g

※カロリーは下記文部科学省食品データベースを参照。https://fooddb.mext.go.jp/

干し柿のカロリーを見て悲鳴を上げないでくださいね。そのままの柿Mサイズなら約170gなのでカロリーは100kcal。干し柿は1個の重さは40g前後でカロリーは約110kcal。どちらも実食する1個のカロリーはほぼ同じです。

生で食べる甘柿は約8割が水分。ドライな干し柿は水分が約2割程度になります。抜けた水分に変わって炭水化物成分が増加。渋柿と干し柿の大きな違いはココにあるのですが、これは後程解説を致します。

新鮮な生の柿にはビタミンCが多く含まれています。加工をした干し柿はやはりビタミンCの含有量はかなり減ってしまいます。

食物繊維はどちらも不溶性食物繊維を多く含んでいます。約40gの干し柿を1個食べると5.6gの食物繊維が摂取可能。

女子なら美と健康のためには1日の食物繊維摂取量が18g必要と言われています。1個食べればその約1/3を補える干し柿は頼りになる食材ですね。

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渋柿が甘い干し柿に変身! その方法は?

渋い柿を手間と時間を掛けて甘い干し柿にする工程を「渋ぬき」と言います。科学的な方向から渋ぬきを見てみますしょう。

  • 柿の渋みの原因は?
  • 渋柿には口の中で溶ける渋み成分タンニンが多量に含まれている。

    タンニンが口の中で溶けない状態にして渋みを感じることを阻止。

  • タンニンを溶けなくする工程は?
  • 渋柿の皮をむいて干すとアセトアルデヒドが発生する。

    この物質がタンニンとくっつくと口の中で溶けない不溶性タンニンが出来る。

アセトアルデヒドはアルコールの分解の途中でできる成分。二日酔いの原因にもなりますね。渋柿を焼酎などにつけてアセトアルデヒドを作って渋をぬく方法もあります。

そのまま食べて美味しい柿をつるせば時短で干し柿が…と思いますね。

でも渋柿は甘い柿より糖分を多く含んでいます。タンニンが邪魔をしてその甘さを感じることができないのです。

表で説明をした渋い柿の水分が抜けて炭水化物率が上がったのは、柿の甘み感度がUPしている証。生で食べる柿の約1.5倍の甘みを味わうことができますよ。

干し柿の表面にある白い粉は糖分の結晶です。集めれば「柿霜(しそう)」と呼ばれる漢方薬の原料。タンニンと柿がもともと持っている糖分が干し柿ではないと味わえない甘みを作り出します。

柿は品種の多い果実です。渋ぬきも品種に合った方法で行わないと渋みが抜けない場合もあるようです。有名ブランドの干し柿は渋ぬきの技術と歴史に支えられているのですね。

効果もあるの?渋みのタンニン

渋みのタンニンは緑茶などにも含まれています。柿の渋みは「カキタンニン」と呼ばれ特別なタンニンとして認められています。

渋ぬきをした干し柿ですがカキタンニン成分が0になった訳ではありません。渋みを感じなくなっただけなのです。効率よく美味しくカキタンニンが摂取できるのが干し柿です。

生で食べる柿は美味しいだけじゃない! 美にも貢献?

  • カキタンニンの効果は?
  • 渋み成分(シブオール)と酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ)が、アルコールを摂取したときの分解をサポートします。お酒を飲む前に干し柿を食べれば二日酔い予防効果が期待できますね。

    ポリフェノールの仲間のタンニンは抗酸化作用も期待できます。自然な食べ物から摂れるポリフェノールでアンチエイジング効果も入手可能。

干し柿は1つじゃない干し柿にも違いが?

柿と干し柿の違いを解説しましたが、干し柿にも違いがあります。干し柿になるまでの工程が干し柿の違いを作ります。2つの干し柿をご紹介。

◆あんぽ柿
大きめの柿の皮をむいてから硫黄の煙で燻(いぶ)すのが特徴。その後専用の部屋で干し、乾燥をさせます。大きめの柿を使うので水分が約5割残る「生干し柿」と呼べるジューシーさが人気の秘密。

常温での長期保存に向かないのが短所ですが、冷凍で柿100%のシャーベットにしたことでオールシーズン対応の干し柿としてブランドを確立。

◆ころ柿
漢字では枯露柿と表記。渋柿の皮をむいて約1か月軒先などに干します。工程はシンプルですが、乾燥と霜が降りる適度な湿気が干し柿の食感と甘みを作ります。

水分量は3割以下、表面の白い粉状の糖分が特徴。単品で食べるだけではなく、チーズと合わせたり白和えの具材にもなります。レシピにも取り入れやすい自然の甘みですね。

手を加えなければ食べることが出来ない干し柿。実った果実を無駄にしない先人の知恵が詰まっています。

スイーツと呼ばれる商品が数えきれないくらい市場に出回る時代です。本来なら楽しいはずの甘い誘惑が悩みになっていませんか?

だからこそ自然の実りから生まれる甘さを持つ干し柿を見直してみましょう。歴史ある尊い甘みはゆったりとした時間も作ってくれるはずです。

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